僕の一年はまさにこの日のためにあるようなものだ。
今日も9:30に県民ホールステージ上に集合。県内の合唱団に加えて、全国から集まった県外参加の人もそろっている。例年より100人ほど少ないといっても350人近くもいるんだからすごい迫力だ。
周知事項の説明や入退場練習、発声練習が終わればいよいよゲネプロ。直前ということもあり、練習中も空気が張り詰めているのがよくわかる。途中で止まることも少なく数時間後の本番をイメージするように一通り最初から最後まで練習した。
ゲネプロは第4楽章から始まり、第4楽章が終わると合唱団は退場、オーケストラの人たちはゲネプロを続けている。その間合唱団は大慌てで着替えと食事を済ませる。
さて、かがわの第九は第4楽章のMの部分、いわゆる歓喜の歌として有名な部分を客席と一緒になって歌う。(かがわ方式)いくら有名といっても誰もがすぐに歌えるものでもないので、演奏前に15分ほど時間をとって歌唱指導を行う。合唱団の中から無作為に100人ほど選び出し指導の先生の指示でお客さんと一緒に歌うわけなんだけど、今年は合唱指導の当番に選ばれてしまった。
というわけで、大急ぎで食事と着替えを済ませてみんなより早く舞台袖に集合。一足先にステージに上る。歌唱指導に選ばれてうれしいのは、みんなより先にお客さんの入りを見ることができること。今年もたくさんの人が聴きにきてくれている。3階席まで満員だった。
さて歌唱指導が終われば僕らはいったん退き再び出番を待つ。演奏会によりけりだけど、かがわの第九は第3楽章の手前で合唱団が舞台に出る。それまでの間は舞台袖や廊下でずっと待機。
さぁ、いよいよ出番だ。これまで中高の頃から何十回とこの県民ホールの舞台に立ってきた。舞台袖から出る。ステージをまっすぐ歩く。自分の場所に着いて正面を向く。目が眩むほどのライトを浴びる。この瞬間がたまらない。この快感が忘れられなくて僕はステージに戻ってきたんだなぁと思う。
1時間以上ある第九の演奏の中で、コーラスが歌う部分はたった20分ちょっとしかない。この20分を歌い、この1時間を感じるために誰もがそれぞれの努力を重ねてきた。このたった一時間のために、すべての人が兄弟となるために。
Freude, schöner Götterfunken. Götterfunken!
コーラスが歌いきってからオーケストラが盛り上がって鳴り止むまでの間がものすごく長く感じる。
はぁ。終わってしまった。毎年この瞬間は充実感と喪失感が半々だ。また一年この感動もおあずけだ。
というわけで、5年目のかがわ第九演奏会も無事終了。来年は20回目の演奏会だそうだ。来年もそれから先もずっと、30回40回をステージの上で迎えることができますように。
毎年いろいろとよくしてくださる実行委員会の皆様、指揮者やソリストの先生、関西フィルの皆様、聴きに来てくれた友達、一緒に歌ったみんなに感謝します。
ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。